シビックハッカー道場 2023-1-22
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「タイムスケジュール
18:00-18:15:(Scrapboxに書き込みできない人のフォロー)趣旨説明、自己紹介
19:45-20:00:フリーディスカッション
自己紹介
簡単な自己紹介+この勉強会を通じてどんなことを学んでいきたいか
Koichiro ShiratoriKoichiro Shiratori.icon
大学に勤める研究者(行政学者、産官学民協働が最近の主要テーマ)、山村に入ってのフィールドワークなども
誰一人取り残さない社会の実現は、産官学民の連携を通じてこそ実現するのではないかと考えており、その思考の解像度をこの勉強会でみんなで上げていきたい!
Masanobu Kikuchi
コンサルティングファーム勤務(テクノロジー部門)& チャット相談NPO理事
社会課題、またそれを解決していくためのテクノロジーについても解像度を上げていきたいと思っています。
Ryohei SatoRyohei.icon
金融機関に勤務。グラミン日本のリサーチチームのリーダー。
社会課題をテックとデータで解決するための知見を得たい!
Furuhashi Naoya furuhashi.icon
医療機器のソフトウェアエンジニア
OpenFisca渋谷区版を開発中!誰もが簡単に自分に適用される社会制度や助成を探せたり、防窮訓練(困窮した時に使える制度について事前に学ぶ)に使える。行政側の制度シミュレーションにも。
社会×システム×ITの繋がりについて勉強したい
呂建輝(LU Jianhui)j.lu.icon
本来の専門は言語学、日本語教育
ここ一年はPythonを使ったプログラミングを独学
日本語語彙学習アプリVocabulary Battlersを開発中(5月公開予定)
ご参考:https://www.youtube.com/watch?v=wVog5zhH248
入門して1年すら初心者なので、ICT分野のいろいろを勉強したい(笑)
※防窮訓練=防災訓練のように、貧困におちいっても命を失わないような適切な行動が取れるようになるための短時間の教育プログラム
趣旨説明
勉強会の目的
「誰一人取り残さない社会の実現をコードで加速する」というproj-inclusiveのミッションの達成に向けて、関わる人の知識を一緒にアップデートし、共通理解をつくっていく。特に「支援制度検索システムの開発」や「貧困関連データの可視化」に役立てる。 この箇所はアップデートしても良いかもyuiseki.icon
方法
オンラインで月1回程度の勉強会を行う。さしあたって、①社会、②データ・統計、③プログラミングの3つの分野を扱う (原則30分程度ずつ)。一方的に特定の講師役から習うのではなく、教材をベースに、知識を持ち寄る演習形式とする。興味のある分野を事前に予習し、Scrapboxなどに要点・疑問点・質問を書いておき、当日は議論を中心に進める。
参加者
だれでも参加可能。お誘いあわせの上ご参加ください。
①社会分野
※レジュメ:ryohei.icon
第6章 神格化するテック、動物化する人間
システム世界の全域化、共同体の空洞化は、国民国家を構成する主体的な個人の再生産をきわめて難しくしている。
⇒システム世界の拡張と生活世界への浸食は、個人の感情を著しく劣化させ、感情の壊れた個人を生み出す
システム世界との向き合い方はヨーロッパとアメリカで大きく異なる
ヨーロッパ
前提条件
地域環境:共通の文化基盤
人間関係:お互い知っている信頼ベース
人間集団:地縁共同体
誰に見られている?:神は死んだ/隣近所に見られている
歴史的伝統:自治国家の伝統
アプローチ:<システム世界の全域化>を制約
「人間であること」に「多くの期待を寄せて社会の仕組みを構想」
規律訓練による成員として主体化
スローフード運動で対抗
アメリカ
前提条件
地域環境:多人種構成
人間関係:お互い知らない不信ベース
人間集団:組織集団
誰に見られている?:神は存在する/神に見られている
歴史的伝統:核家族ユニットの伝統
アプローチ:<システム世界の全域化>を徹底
「人間であること」に期待を寄せず、動物でも回る仕組みを構想
アーキテクチャによる管理化
マクドナルド化
ジョージ・リッツァ『マクドナルド化する社会』(1999年)
マクドナルド化する社会:人間が「動物」でありさえすれば回るような脱人間化・没人格化・損得化が進んだ社会。カウンセリングを受けなければ個人が押しつぶされてしまう。
その対処としての「ディズニーランド化」:祝祭的消費による感情的回復
⇒システムが創り出した裂け目を、システムで埋める
ディズニーランド化は今日では、ドラッグ(マリファナ・オピオイド)の使用という形や、VR・ARによって担われつつある
ドラッグやVRによる「脳内環境の制御」によってもたらされるハピネスは「幸福」か?
ディズニーランド化を利用した統治は、統治コストを劇的に低下させられる
ベーシックインカムが導入され、栄養ピルを摂取し、AR/VR、ドラッグが提供される社会
新反動主義者・加速主義者
ピーター・ティール:「自由と民主主義が両立するとは思わない」
ニック・ランド:民主政を前提としない、「テックを使った社会変革」へのシフトの主張
堕落した民主主義に埋没しない卓越者たちによる人工島群からなる国家の建設-「古きよきアメリカ」の再現というビジョン
参加者の質問・感想・コメント
「グローバル化の影響による格差拡大で貧困化が進んだコミュニティでは、人々は生きていくためにあえてシステム世界を選択せざるをえず、それによってますますコミュニティは壊れて、ますますシステム世界に依存していきます。ヨーロッパ的アプローチの限界はそこに表れています。」Koichiro Shiratori.icon
「『動物』でも回る社会の仕組みを構想」:「動物」=不快を避け、快に向かう性質を持つryoという意味Koichiro Shiratori.icon
→さらに「不信ベース」になるという副作用
アメリカでのディズニーランド化が言及されているが、ヨーロッパなどのディズニーランド化は? ドラッグは?Koichiro Shiratori.icon
オランダのドラッグ? あえて議論を二分化した?ryohei.icon
バーチャルの世界が「没入」するほど幸せなら、現実での公正や正義を人は求めなくなるのでは、という宮台の指摘に納得Koichiro Shiratori.icon
インターネットが登場したときからあった古い議論だが、VR等の技術によってそのリアリティが増大しつつある?Ryohei.icon
「ヨーロッパ的アプローチの挫折」、「『快・不快』を制御する統治を批判できるか」というテキストの問いにどう答える??Koichiro Shiratori.icon
言い換えれば、「能力のない者は、自分にとって都合のよい夢を見させられながら眠っていればいい」?Koichiro Shiratori.icon
システム化にアクセルを踏むのも現状ではやむを得ない??ryohei.icon
人間の尊厳が奪われてしまう…furuhashi.icon パフォーマンスとは違う次元で反論できないか。
いわば、歩やポーンも使って勝負することにポテンシャル、意義がある?Koichiro Shiratori.icon
社会全体のパフォーマンスが最終的には下がるのでは? 多様性の低い環境で考え出すことに限界? いるだけの人間は最後は「処分」されてしまう??Koichiro Shiratori.icon
地域共同体は必ずシステム世界に敗北するのか?Koichiro Shiratori.icon
システムは自己強化的で勝手に強固に広がっていくので、地域共同体はそのままでは勝ち目は薄そう。コミュニティの意思決定ツールdecidimなど一部システムを取り入れて主体性を取り戻すのも1つの方法か。furuhashi.icon
マイクロファイナンスのグループを組成することで、村の会議への女性の参加が増えた事例Koichiro Shiratori.icon
おせっかいな人がいるかどうかは大事Ryohei.icon
イギリスの社会的処方、高齢者をコミュニティにつないでいく
システム世界をきっかけにコミュニティにつないでいく
1)システム世界にブレーキ(ヨーロッパ)
2)システム世界にアクセル(アメリカ)
3)システム世界を使って生活世界を再生(第三の道)←狙っていく
いいね!Koichiro Shiratori.icon*5
アナログとバーチャルの組み合わせ(入口はリアル)Ryohei.icon
技術やシステムに頼りすぎずにリアルな関わりも保つことが大事に感じますfuruhashi.icon
制度検索システムや防窮訓練をテーマとして、産官学民やコミュニティの連携を図ることは可能か?Koichiro Shiratori.icon
コメントです:アメリカの「脳内環境の制御」という考え方、とても興味深かったです。私が今関心をもっているゲーミフィケーションの理論もアメリカで盛んに議論されているが、一方日本ではないがしろにされているような傾向があると感じました。j.lu.icon
「自由と民主主義が両立するとは思わない」とは、具体的にどういうことでしょうかj.lu.icon
ここでいう「民主主義」は「平等」を意味しているようで、自由の追求と平等な再分配は両立しないということをティールは主張しているようですRyohei.icon
ディズニーランド化については、個人的にはディストピアのような印象も受けますが、その選択をする人も一定数いる。選択の自由があるということと、意識的に選択しているという主体性が重要だと考えています。+1Koichiro Shiratori.icon
ディズニーランド化の世界に入りきるか拒むか、意識的に選択することは相当難しそう…。人間の意思決定は周りの環境や個人史に大きく影響される。自由を提示する前にどうあるべきかを考えたい。(國分功一郎「中動態の世界」)furuhashi.icon 敵は強い! youtube見たら時間が一瞬で過ぎている!Koichiro Shiratori.icon
社会的処方をテクノロジーで実装することで、ヨーロッパ的アプローチをシステム世界の流れの中で実現できないか。
プラットフォームを経由した遠隔でのコミュニケーション
システム世界の全面的な侵攻に対して、個別に対抗していけるのか?Koichiro Shiratori.icon
生活世界はマクロでは語れないのでは→コミュニティのリーダーがコミュニティを活性化させる→周りに波及させる
第7章 あなたにとって「よい社会」とは?
「トロッコ問題」を考える
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』(2011年)
功利主義と義務論
功利主義:5人が死ぬより1人が死ぬ方がマシ
義務論:5人を助けるためにでも、一人は蹴落とせない
感情の超えられない壁:人間には、直接的に手を下すことができないという感情の働きがある
生物心理学者マーク・ハウザーがこのゲノム的働きを発見
カストロにおける社会構築主義・文化相対主義批判
人間は、どの社会にあっても、何万年にわたってアニミズム的社会を共通に経験しており、アニミズム的感受性を前提とした文化が絶対的な基盤であり、それが分化し別々に見えるようになった現状を捉えて相対主義を唱えるのは間違っている。
システム化した世界における人間関係は、利己的な主体同士の「交換」が基本だが、人間の出発点であったアニミズム的社会での生活は、より利他的な「贈与」に基づいている。
人間のゲノム的基盤=アニミズム的感性(利他的感性)である
社会の成員にどんな感情の働きを期待するか?
レベッカ・ソルニット『災害ユートピア』
災害時はシステムが頼りにならないため、人々がもともと持ち合わせている良心があらわになる
2011年の東日本大震災時は「災害ユートピア」は現れなかった?
倫理的にはゲノムの普遍的基盤があれど、どう発現するかは、生きてきた文化的環境次第である
二項対立から脱却し、システムとテックをうまく活用する
テクノロジーやシステム世界をうまく利用し、生活世界を維持・再構築する
従来のテックは、システム世界の全域化=汎システム化を促進し、個人間の分断やクラスタ間の分断を進行させることで、人々の動物化を促進してきた
しかし、テックは、人々がシステムに抗えるように人間化を促進したり、人々が個人間のつながりやクラスタ間のつながりをより強く望むように認知の図式を変える方向で機能したりする可能性を秘めている
⇒テックを使って人間の倫理的なあり方を涵養できるはずだという仮説から、まずはスタートする
「人間であること」と「人間的であること」は異なっており、「人間的であること」の方が重要である
参加者の質問・感想・コメント
災害ユートピアが現れるかどうかは、育ち方の環境に左右される(宮台)Koichiro Shiratori.icon
罰されるから殺さない社会と殺したくないから殺さない社会のどちらがいいかという問い(野田)Koichiro Shiratori.icon
利己的な利他と利他的な利他Koichiro Shiratori.icon
どのような社会をよい社会と思うか? その社会の実現をテックを使って加速するとして、具体的にどうするのか?Koichiro Shiratori.icon
人間をシステム化に対抗できるようにするテックの使い方(宮台)Koichiro Shiratori.icon
コミュニティに対してもできるところがあるのでは?Koichiro Shiratori.icon
「人間の倫理的なあり方」とは何かを探究することも重要になりそう。理系の学問だけでなく、哲学や社会学、文学など人文科学の比重も今後高まる(高まってほしい)と思います。furuhashi.icon
「人間的であること」とは、「柔軟性」ということかなと思いました。「やさしい」AIを作ったとしても、それを余計な世話だと思う人にとってはありがた迷惑になりますし。「不気味の谷」という現象を思い出しますが、ロボットが「人間的」になるにつれて逆に不気味に感じる谷に陥ります。それはまさに中途半端な「人間的」、つまり柔軟性のないAIのことではないかと思いました。
②データ分野
※レジュメ:Koichiro Shiratori.icon
統計的推測はパラメータ推定の不確実性を理解し、定量化することから始まる
関係する数式と詳細はそれぞれの設定によって変化するが、統計的推測の基礎は統計学全体を通じて同一
→ここを理解すればいろいろと応用がきく!!
本章で扱うこと
母比率(母集団の比率)を推定するために標本比率(標本の比率)を使うというアイディア
信頼区間
仮説検定の枠組み
5.1 点推定と標本による推測の変動性
5.1.1 点推定と誤差
例)アメリカ合衆国大統領の支持率を調べた世論調査
点推定値:調査結果の数字(例:45%)
パラメータ:この場合、母集団全体の比率
推定における誤差:調査による観測結果とパラメータの差
→標本誤差と偏りからなる
標本誤差(sampling error):ある標本から別の標本へと推定値がどのくらいばらつく傾向があるか(標本の不確実性)
この本の大半を含むほとんどの統計学は、標本誤差を理解し定量化することに焦点を当てている(←標本サイズを考慮することが有用)
偏り(bias):真の母集団よりも過大または過小推計する系統的な傾向
質問のしかたなどで変化、考え抜かれたデータ収集の手順などで対処
5.1.2 点推定値の変動性を理解する
状況:太陽光エネルギーの利用拡大を支持するアメリカ合衆国成人の比率を知りたい(実際はp=0.88)
このテーマについて、1,000人のアメリカ合衆国の成人を調査する。その調査の標本比率は88%にどのくらい近いと期待してよいだろうか?
コンピュータシミュレーションしてみる(1万回母集団から標本を抽出した結果は図表5.2→標本比率は母比率のとてもよい推定値を与えていることがわかる)
標本分布は現実世界で実際に観測されることはない(何回何回も調査しない)。しかし、標本分布は、点推定値を特徴づけ、意味づけするのに役立つ
5.1.3 中心極限定理
中心極限定理
観測値は独立で、標本サイズが十分に大きいとき、標本比率は次の平均と標本誤差の正規分布に従う傾向がある(p180)
成功・失敗条件:中心極限定理が成立するためには、標本サイズはnp≧10かつn(1-p)≧10が成り立つように通常は十分大きい必要がある
中心極限定理は非常に重要で、多くの統計学の基礎となっている
中心極限定理の技術的な2つの条件:独立性と成功・失敗条件
独立性
例)実験における処置群への無作為割り当て
例)観測値が単純無作為抽出標本からなっている
成功・失敗条件
標本が母集団の10%より大きくないとき、母集団からの標本にはときどき条件が追加されるが、これは任意として考えてよいのでは(そのままだと標本誤差を若干過大推計する傾向があるが、問題になることは非常に稀)
5.1.4 中心極限定理の現実への応用
成功・失敗条件の数式で母比率を使っているが、母比率は全数調査をしない限り知りえない→次善の策として標本比率を使うことばしばしばある(代入原理、plug-in principle)
5.1.5 中心極限定理のより詳細
成功・失敗条件が成立しない場合の例
5.1.6 他の統計量の枠組みの拡張
パラメータを推定するために標本統計量を用いる戦略はごく一般的で、比率以外にも他の統計量にも応用できる
例)ある特定の大学の卒業生の平均給与の推計
例)2つのウェブサイト間の製品価格の違いの推計
5.2 比率の信頼区間
標本比率は完全ではなく、それに関連するいくらかの標準誤差がある
母比率の推定値について述べるとき、点推定の値だけを与える代わりにもっともらしい値の区間を提供することがよりよい実践になる
5.2.1 母集団のパラメータの捕捉
信頼区間:母集団のパラメータを見つけられそうなもっともらしい値の区間を表す
点推定:魚にもりを投げる
信頼区間:網で魚を捕る
5.2.2 95%信頼区間の構築
標本比率は母比率の一番もっともらしい値であることから、点推定値の周りに信頼区間を設定する
標準誤差SEは信頼区間をどのくらい広くすべきかの目安を与えてくれる
標準誤差=点推定値の標準偏差(母比率とサンプルサイズから計算できる)
95%信頼区間:標本比率から1.96標準誤差の範囲に広がる信頼区間(点推定値の周りに構築するもの)
←標準誤差が点推定値の標準偏差を表しており、中心極限定理の条件が満たされるとき、点推定値は正規分布に近似的にしたがう
←正規分布において、データの95%は平均値から1.96標準誤差の範囲内にある
多くの標本を採取し、それぞれの95%信頼区間を構築したとき、これらの区間の約95%がパラメータpを含んでいる
まとめ:点推定値の分布が中心極限定理の前提を満たし、正規分布に近似的に従っているとき、次のように95%信頼区間を設定できる
点推定値±1.96×SE
5.2.3 信頼水準の変更
99%信頼区間:点推定値±2.58×SE
x%信頼区間:点推定値±z×SE
誤差の範囲:信頼区間において、z×SEは誤差の範囲とよばれる
5.2.4 さらなるケース分析
母平均のような他のパラメータに関しても信頼区間を設定することができる
点推定値±誤差の範囲
5.2.5 信頼区間の解釈
信頼水準
〇与えられた区間にパラメータが存在している確からしさを定量化したもの
×母集団のパラメータを捉える確率
〇信頼区間は母集団のパラメータについてのもの
×個別の観測値や点推定値については何も言っていない
ここで議論した手法は標本誤差に対して応用するものであり、偏りについてではない
偏りに対しては慎重なデータ収集方法に頼ることになる
5.3 比率の仮説検定
Q. 世界で、何らかの病気に対して予防接種を受けている1歳児は現在どのくらいいるか
A. (20% / 50% / 80%)
本節では、4年生大学卒業生の正答率を仮説検定として探求していく
仮説検定は、両立しない考えや主張を厳密に評価するときに使用される枠組みである
5.3.1 仮説検定の枠組み
世界全体の保健の問題とその進歩について、人々が多くを知っているかどうかを調べたい
H0:人々はこれらの特定の問題を学んだことはなく、彼らの回答は単なるあてずっぽうと同等だろう
H0:p=0.333
HA:人々はでたらめに推測したり、または実際にはおそらくそれよりもさらに正答率が悪化する誤った知識に比べれば、正答率をよりよくするために役立つ知識を持っている
HA:p≠0.333
これらの両立しない考えを仮説という
H0=帰無仮説(添え字の0の発音はノート(nought)、全体でエイチノート)
懐疑的な視点、検証すべき主張、「差がない」という観点をたびたび表す
HA=対立仮説
検討中の主張、あらたなまたは強力な視点を表し、可能なパラメータの範囲によってたびたび表される
対立仮説を採用する前に協力な証拠が必要であるという懐疑論的な立場にデータサイエンティストは立っている
帰無仮説を棄却することに失敗するとしても、通常は帰無仮説を真であると認めることにはならない
5.3.2 信頼区間を用いた仮説検定
上記の仮説を検定するために、50人の大学卒の成人のデータを用いる
24%が正解
→33.3%との乖離は偶然?
95%信頼区間は、標本比率±z×SE→(0.122, 0.358)
帰無値p=0.333は信頼区間内にある。つまり、信じがたいとは言えない。このデータは、大学卒の成人の正答率はあてずっぽうとは違うという見解を棄却するには十分な証拠になっておらず、帰無仮説H0は棄却されない
統計学では二重否定を使うことがある
例)帰無仮説は疑わしくはない、帰無仮説を棄却できなかった
ある見方を否定しない一方で、正しいとも言わないことを伝えるために使用される
5.3.3 意思決定の誤り
第1種の過誤:帰無仮説が真であるときにH0を棄却すること
第2種の過誤:対立仮説が真であるときに帰無仮説を棄却しないこと
一方の誤りを減らそうとすると、一般的には他方の誤りを増やす
信頼区間が帰無仮説を棄却するかどうかを決定するのに有用であるが、信頼区間アプローチはいつでも使えるわけではない
例)複数の比率が等しいという仮説を評価したいとき
→p値(p-value、確率値)と呼ばれる統計量を導入、証拠の強さをより理解することを可能にし、後の節のより複雑なデータのシナリオで役立てることができる
5.3.4 p値(確率値)を使う形式的な検定
p値は対立仮説を支持し帰無仮説に反する証拠の強さを定量化する方法
統計学的仮説検定は信頼区間に基づく意思決定よりもどちらかというと通常はp値を使用する
p値を使用する方法を仮説検定の評価に用いるとき、標本比率の代わりに帰無値p0を使って標本比率の条件を確認し、標準誤差を算出する
p値を使用する仮説検定で、帰無仮説が真であることを仮定するが、これは信頼区間を計算するときとは異なる考え方になる。これが、帰無仮説の条件の確認と標準誤差の計算のときに、p̂の代わりにp0を使用する理由である
帰無仮説の下で標本分布を考えるとき、その分布には帰無分布(null distribution)という特別な名前がつけられている。もし、帰無仮説が真であったなら、p値は観測された標本比率の確率を表している
p値を求めるには、一般的には帰無分布を見つけて、点推定値に対応しているその帰無分布の裾部分を見つけることになる
仮説検定の4ステップ
準備:関心のあるパラメータを特定し、仮説を設定し、有意水準を決め、p̂とnを決定する
確認:H0の下でp̂を正規分布で近似できることを保証する条件を確認する。比率の仮説検定では成功・失敗条件を確認するためには帰無値を使用する
計算:条件が成立したら、再びp0を用いて標準誤差を計算し、点推定値のZスコア(検定統計量に当たる)を計算し、p値を決定する(p208例題参照)
結論:p値と有意水準αを比較することにより仮説検定を行い、問題の状況に照らした結論を出す
5.3.5 有意水準の解釈
検定のための有意水準の選択は多くの状況で重要で、伝統的水準はα=0.05
しかし、応用に基づいて有意水準を調整することは有用
検定から得られる結論の重要性に基づいて、有意水準を0.05より小さくしたり大きくしたりしてよい
第1種の過誤を犯すことが危険あるいは特にコストがかかる場合は、小さな有意水準(たとえば0.01)を選ぶべき
第2種の過誤を犯すことが、第1種の過誤よりも相対的に危険あるいははるかにコストがかかる場合は、より大きな有意水準(例えば0.10)を選んでもよいかもしれない
第2種の過誤のコストに比べてデータを収集するコストが小さい場合は、より多くのデータを集めることはよい戦略→第2種の過誤は軽減、第1種の過誤には影響しない
なぜ有意水準は0.05が既定値なのか:www.openintro.org/why05
5.3.6 統計的有意対実務的有意
サンプルサイズが大きくなると、非常に小さな差であっても統計的有意となることがある
例)映画批評サイトでの追加的な広告を出すと、テレビ番組の視聴率を0.001%有意に増加させるというオンラインの実験結果
しかし、実務的には価値はない
標本サイズの計画
実際に意味のある違いがあるのであれば、研究者はそれを見分けるのに十分大きい標本サイズを提案することができる
5.3.7 片側検定(special topic)
ここまで、pが帰無値p0よりも上または下であるかどうかを判定する両側検定(two-sided hypothesis tests)だけを考えてきた
このほか、片側検定(one-sided hypothesis test)もある。pがp0より小さいときだけ、あるいは大きいときだけ意味がある検定
メリット:p値が小さくなり、対立仮説が入っている範囲の興味ある知見を特定するために必要な証拠の水準は下がる
デメリット:対立仮説とは逆の興味深い発見が無視されるという重い代償を支払う
→本書では以後は両側検定のみを扱う
参加者の質問・感想・コメント
③プログラミング分野
※レジュメ:yuiseki.icon
担当
8章-エピローグfuruhashi.icon
5章Koichiro Shiratori.icon
6-9章ryohei.icon
課題:次の社会分野の文献を提案!